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同人ブログ。 原稿の進行状況やその日あった雑記などを気ままに書き散らしております。 メインの小説はカテゴリ欄にてジャンル別でおいておりますので、そちらをご覧くださいますよう御願い致します。

カテゴリー「ボーカロイド(駄文)」の記事一覧
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◆  ◆  ◆  ◆  ◆

――星を見に行こう。
夜中突然現れて脈絡無くそう言ってきた兄に対して少年は思い切り眉を顰める。しかし、目の前の青年は満面の笑みを湛えたまま少年の手を取り、返事を待たずに連れ出そうとしていた。
「ちょっと! やだよ、眠いもん」
「凄く綺麗なんだよ? 見て損はしないって!」
布団から離されないようにしがみつくが、見た目以上に力のあるカイトは布団もろとも連れ出そうとするので少年は諦めて布団を手放し、思い切り睨みつけた。
「わかったよ、付き合ってあげるからちょっと待ってよ。外出るんだから着替える」
「別にそのままでも可愛いのに……」
「じゃあ一人でいけば?」
冷たくあしらおうとしてくる弟に苦笑いを返したカイトが傍にあった椅子に腰を下ろすと、寝癖がつきかけている山吹色の髪を指で弄りながらレンは胡乱げに彼を見返す。
「何してるの……?」
「え? 待ってるんだけど……」
「外で待ってなよっ! 着替えるって言ってるじゃん!!」
「別に恥ずかしがる事ないのに……」
窓から差し込む灯りは極々微量で、深夜であることを指し示す時計が刻々と時を刻んでいる中、レンは出来る限り抑えた声音でカイトに枕を投げつけて部屋から追い出すと、不承不承といった様子で箪笥から翌日の着替え取り出して着替える。電灯を点していないほぼ闇の中に近い中で日頃の感覚を頼りに着替えを済ませ、バナナ柄の入った寝巻は綺麗に折り畳んで寝台の上に置いておいた。
ドアをそっと開いて音を立てないよう気をつけながら部屋を抜け出し、フローリングの床を軋ませないよう一歩一歩慎重に歩を進ませ、レンは外へと出る。微量の風が彼の髪と頬を撫で、その心地よさに目を細めていれば、数歩離れた位置で空を見上げているカイトの姿が視界に入り、少年は彼の傍へと近づいていく。
「で、何が綺麗なんだっけ?」
壁に寄りかかっていた青年の隣まで歩み寄り、憤然とした面持ちで腕を組めば、背丈のある青年は彼に向かって微笑むとその手を取って歩き出した。
「ちょ、何処行くのさ!?」
「ん~、もっと良く見えるところ、かな」
それきり笑みを湛えたまま一言も発さなくなった青年に引張られ、レンは頬を膨らませるも深夜の町を見回す。昼間なら人通りが無いわけではない住宅路は街灯の立てる音が聞こえ、遠くを走り抜ける車、ないしロードローラーの音が昼間以上に響き渡る。静寂に耳を傾ければ何処からとも無く虫の鳴き声が聞こえ、太陽の出ている時間にはない空間を歩き続けた。
彼に引き摺られながら辿り着いたのは、近所にある河辺だ。電柱や大きなビルも周辺に無いそこは確かに上空を見上げるには適しているとも言える。しかし、それ以上に少年の気を引いたのはすぐ傍で流れている河だ。すぐ傍で流れている音が聞こえているのにもかかわらずその流れを視界に捉えることはできない。暗闇の中ではその闇に溶け込んだのか、はたまた闇を取り込んだのかは不明だが、河の色を見ることは出来ず、夜と昼とではこれほどまでに表情が違うものなのか、と一人感心していた。
「ほら、見て?」
手を繋いだまま頭上から声を掛けられ、そのまま頭を上に向ける。河辺の石に躓かないように足元ばかりを見ていたレンは気付かなかったが、そこには確かに家からでは見られない景色が広がっていた。
「う、わ……」
漏れ出る感嘆の声。それまで町を歩いているときに見てきた人口の灯りではなく、もっと高い場所から降り注ぐ幾つもの光。視界を覆いつくしていた闇の中に数えきることなど出来ない程の星明りが広がり、レンはカイトと繋いでいた手に知らず力をこめる。それぞれが異なるタイミングで瞬きを繰り返し、呼吸すら忘れそうなほどに魅入っていれば同じ様に空を見上げていたカイトが口を開いた。
「星の光は、“今”のものじゃないらしいね」
「どういうこと?」
星に向けていた視線を隣の青年に向け、少年が彼の続きを促せば、カイトは視線を天空に向けたまま続ける。
「星の光っていうのは、今、俺達が見ているものはずっと昔の光らしいよ。ずっとずっと遠くに離れた星はああやって光を放っているけど、もしかしたらこうして俺達が見ている星の中にはもう無くなってる星もあるかもしれないんだってさ。そう考えると、凄く淋しくならないか?」
瞬き続けている無数の輝き。闇という帳の中でその闇を強調するように光り続けている星の光は、文字通り光の速さで真空の海を渡り、ヒトの瞳に届く。何億年も、それは気の遠くなる遠い年月を渡り、届く光の発信元は二人が見上げているその時間の中では既に存在しない星なのかもしれない。
満天の星空。それは壮大でヒトに感動を与え、それでいて儚い。
口を噤んで腰を下ろしたカイトに習って、レンも河の流れに削られた小石で形成されている地面に腰を下ろす。座っても完全に見ることが出来ないカイトの顔を眺めていれば、その視線に気付いたのかカイトの藍色の瞳が少年へと向けられ、レンは慌てて彼から視線を外して上空を見上げた。
数えられないその星達のうち、幾つが今は存在しない星なのだろうか。一つだけなのか、二つ三つですむのだろうか。それ以上に、もっと多くの星が今は存在せず、過去にあったという事実を知らせているのだろうか。
カイトの言葉を聞いた後に見上げる空は酷く切なく、レンはその端正な眉根を少し寄せて上空を見つめ続ける。
「確かに、少し淋しいかもね……」
先ほどのカイトの言い分を肯定し、レンは再び隣に座る青年に視線を向けた。
「でも、こうして星を見てれば他にもいっぱい星があるわけだし、まだ出来立ての星の光も見れているのかもしれないよね」
終焉ばかりではなく、始まりの瞬間を。創生された瞬間の星の光が今目に入ってきているのかもしれない、と小さく微笑んだ少年に、カイトは一瞬瞳を大きく開いて驚きを露にする。
「そうか。そうかも、しれないな……」
隣に腰を下ろして見上げてくる弟の言葉に、青年は微笑みを返した。
「そうだな。確かに、生まれたての星もあるんだろうな……。全部が全部、消えているものじゃないんだよな」
「そんなんだったら、いつかこういう星空なんか見れなくなっちゃうよ。ってことは、やっぱり消えていく星もあれば生まれてくる星もあるってことでしょ?」
青年を驚かすことが出来て少し満足しているのか、少年は指を立てて軽く左右に振ってみせる。その姿を闇でおぼろげながら見たカイトは小さく苦笑して徐に繋いでいた手を引張って少年の身体を自身の懐に抱きいれた。前兆の全く無い唐突な行為で完全にバランスを崩したレンは建て直す間もなくすっぽりと青年の懐に収められ、背後から抱き締められる形になる。
「ちょっと! 見えないんだから危ないよっ!」
「大丈夫だよ。何処もぶつけなかっただろう?」
懐から抜け出ようともがいてみるが、自身のわきの下から出てきている青年の腕が完全に固定されており、全く身動きが取れない事を知った少年は諦めたように嘆息して自身の真上に位置する青年の顔を仰ぎ見た。
「で、いきなりなんなの?」
「や、特に理由は無いんだけどね」
何かしらの意味があって抱きしめられているのかと思いきや、理由は無いと答えられては怒りを通り越して呆れるほか無く、レンはもう一度深い溜息を吐く。
「意味不明の行動取らないでよ。何したいのか全然わかんないし」
幼い子供が縫いぐるみを抱くような抱き締められ方が気に食わないのか、言葉の端々に棘を込めてレンが呟けば、カイトはただ苦笑して腕にこめる力を少しだけ強める。互いの体温が服を通して伝わり、石だらけの地面の感触に少しだけ身を捩じらせていたレンもそれきり言葉を発さず空を見上げた。

降り注ぐ星の光はただ優しく。
無言で宙を見上げる彼らに降り注いでいた。




――了――




アトガキ



気合と根j(ry


こんばんは、和紗です(平伏)


ふと思いついたネタです。いちゃつきも何も無いただの自己満さっ!(涙)
何か書きたいなー、でもぇろやらないとなー、とか考えてたんだけど、データがUSBだったので手元に無く、持ち出したパソコンを開いたはいいけどさてどうしよう、とか思ってたらこんなの出来ました(苦笑)

ん~、カイト兄がまだ掴みきれてないんかなぁ、私は。レンもいつもより強いしねww
あれか、カイト兄の前では強い感じか?それはそれで美味しい……のか??

今回ははっきり言ってアトガキに書くようなことは無いです。この話を読んで、何かしら感じてくれればそれで満足だから。
最近は二次創作ばっかりやってるけど、私、ガッコでは一次創作だってやってるんだよっ!?(笑)
駄文なのは変わらないけどね!!(T_T)

ではでは、こんなところまで読んで下さいましてありがとうございました。

皆様が良き夢を見れますよう――


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◆  ◆  ◆  ◆  ◆

誰もいない。
何も無い。
ただ無音の闇が広がる。
手を伸ばしても掴むのは虚空で、声を上げているつもりでも実際耳に入る音は無い。何度も何度も声を張り上げているのに、返ってくるのは無音。自分の声すら聞こえない。
自分は“存る”のに、他は無い。
地に着けている感覚の無い足に目をやっても、闇。否、本当に自分が足元を見ているのかどうかすらも分からない。
自分は“存る”。
逆に言えばそれしかない。自分以外は、無い。何も“無い”ことが、恐怖を心に生み、それが加速して自分を襲う。涙を流して駆け回っているつもりでも、地の感覚が無ければ走っている感覚も訪れない。
ただただ深い闇の中、これから何が訪れるのかわからない恐怖に、身を震わせるしか出来ない。


そこで、目が覚めた。覚醒しきっていない身体をいきなり起こし、血液が反応しきれず一瞬貧血に似た眩暈を起こすが、頭を手で抑えて何とかやり過ごした彼は、頭を巡らせて自分のいる場所が自室であることを確認する。額に当てた手には汗が握られており、布団の中に入っていた所為もあってか生ぬるく気持ち悪い。寝台のすぐ傍らにある時計に目をやれば布団に入ってからまだ二時間。今まで見ていた夢が余りにも非現実的であったにもかかわらず、自身が夢の中の五感で感じていた感触がまだ残っており、少年は身を震わせた。
静寂。
永劫にも感じた夢が未だ続いているようにも思えるほどの静けさが部屋を満たしており、彼は耐えられず布団から這い出るも深夜に照明をつけるのは非常識と判断し、ただ暗闇に包まれている部屋の中をうろうろと歩き回る。時計が刻む秒針だけが彼が立てていない唯一の音で、その規則的な音が普段はなんとも無い暗闇の恐怖を加速させた。
落ち着き無く部屋を歩き回っていた彼は、その整えられた細い眉を下げて不安に満ちた面持ちで、いても立ってもいられなくなり、自室の扉を開いて廊下へと出る。
ぎぃ、と金具の軋む音が暗い廊下に響き、静まり返った廊下を見渡しても漆黒が映るだけだ。それでも部屋の中に入るよりは幾分か気が晴れると思い、少年は再び金具を軋ませながら廊下を歩き、フローリングの床が立てる音にすら恐怖心を抱きながらリビングに向かう。昼間、明かりの灯されている時間帯ならば気にも留めることなく歩ける廊下が、自身の立てる足音以外の暗闇の中では酷く遠く感じる。永遠と続くのではないかと錯覚しそうになりながらも出来る限り足音を立てないよう歩けば暗い中からリビングと廊下を繋ぐ扉を認識でき、彼はその戸をゆっくりと開ける。
誰もいない、深い闇に包まれたリビング。
壁に掛けられた時計が自室と同じ様に秒針を進ませて時を刻み、カーテンの閉められた窓からも、月明かりが差し込んでいる気配が無い。
何処か異世界に迷い込んでしまったのではないか。
頭の片隅でばかげたことを考え、その思考を振り払うように大きく首を左右に振った彼は、リビングと廊下を繋ぐ戸を開いたまま中央に置かれているソファへと近づき、腰を下ろした。
瞼を開けていても、閉じていても闇が広がる。自室と異なり、キッチンと繋がっているリビングなので冷蔵庫の立てる音が自分の居場所が居住している夢の世界ではないことを知らせ、少年はその場で大きく息を吐いた。
異界に感じる、居住区。
先ほど自室で受けていた圧迫感は薄れたが、それでもやはりいつものソファに感じられず、少年はソファの上で手を握っては開き、落ち着き無く周囲に視線を侍らせる。時刻は深夜だというのに訪れない睡魔がその時ばかりは小憎く思い、彼はただ深闇に身を預けて――
「ひぃッ?!」
――背後の闇から肩に何かが触れ、盛大に声を上げて少年は文字通り身体を跳ねさせた。身体ごと振り返れば少年の肩に手を置いたが彼の大声に驚いたのだろう、青年が中空に手をあげたまま固まっていた。
「レ、レン……だよね……?」
「カ、カイト、兄……」
先に声を上げたのは少年の肩に手を乗せた青年。返事をした少年も少し強張った表情のままだが、相手が実兄であると知ると崩れるようにソファに身を預けなおし、青年も未だ空に置いていた手を降ろして少年と同じくソファに座るために回りこみ、レンの隣に腰を下ろした。
「ダメだぞー、こんな時間まで起きてたらー。明日起きれなくなっちゃうぞ?」
笑いを含みながら注意をするがそれに対する返答は無く、暗闇の中で何とかレンが俯いているのを垣間見、彼は小首を傾げながらも少年の頭に触れる。
「それとも、怖い夢でも見た?」
「……そんなんじゃないし」
カイトの言葉を否定しながらも、頭に置かれた手を払いのけるでもなく力なく答えた少年は俯いているために見えなかったが、カイトは自分の考えがどうやら的中したようだ、とその口元に小さな苦笑を浮かべていた。
「でも、寝ないとダメだよ。マスターに怒られるよ?」
「ずっと起きてれば寝坊しねぇもん」
無理でしょ、という言葉を飲み込み、カイトは少年の頭においていた手を膝の上で握られていた手に重ねる。
「……暑いんだけど」
「夏だからねぇ」
暑い、と返したレンだが、触れたカイトからすれば、何に対する緊張かは分からないが、冷え切っている彼の手に内心驚き、振り払おうとするレンに抵抗されないよう強く握り締めた。
「もしかして、眠れないの?」
握られていない方の手でカイトの手を剥ぎ取ろうとしていたレンの動きが止まった。図星を突かれて頭を垂れたレンの手を握ったまま、カイトは空いている手で再び彼の頭に触れてその髪を梳く。
「寝れないなら寝れないって言えばいいのに」
「……たまたまだし。別に毎日寝れないんじゃなくて、今日だけなんか寝れないだけ」
強がるように言葉を返すが、レンはカイトの手を振り払おうとせず、静かに髪を撫でられて少しだけ身体を動かしてカイトに寄りかかる。
「でも、寝たいんでしょ?」
近づいてきたレンの柔らかな髪に顎を乗せ、肩を抱き寄せて密着を深めればレンは素直に頷き、そのまま俯いてしまった。
「……寝たいのに、いつもと変わらないはずなのに、暗いのが怖くて、息苦しく思えてきて」
「全然寝れないんだ」
精神的に不安を抱えていればレンの言った症状に近い不眠症を患うこともある、と聞いたことがある。しかし、レンが嘘を言っていないとわかっていても何故かしっくりこないカイト、幼子をあやす様に弟の背を撫でてやりながら彼が床につくまで何をしていたかを回想し始め、気付いた。
「……ねぇレン。寝る前、何飲んだ?」
自身の回想が正しいかどうかを確かめる為に、カイトは努めて声音を変えずに問いただす。
意識して平静な声を出そうとしなければ、笑いを含んでしまいそうな結論だった。

「えっと……、マスターが飲んでた……コーヒー……」

予想が確信に変わり、神妙そうに答えたレンには申し訳ないと思いながらもカイトは耐え切れずに吹き出す。
「ちょ、な、なんで笑うんだよっ!」
「いや、ごめ……っ、で、でも……ッ」
クスクスと小さく笑いながら答えるが、その返事すらも笑いを含んでおり傍らにいるレンの眉間にみるみると皺が寄っていく。
「ヒトが困ってるってのに!」
「や、でもさ。レン、知らないの?」
身体を揺らして笑うカイトから身を離し、きつく睨み上げてくるレンだが、カイトから発せられた次の言葉に、口をあけたまま呆けることしか出来なくなった。

「コーヒーって、慣れない人が飲むと眠れなくなるんだよ?」

カイトの言葉を最後に、部屋を静寂が包む。先ほどと変わらぬ、耳鳴りがしそうなほどの静寂。
しかし、今少年が感じている静寂は先ほどのものとは全く性質が異なっている。
「……ホント、に?」
「嘘言っても仕方ないもんねぇ」
恐る恐るといった様子でレンが呟き、カイトは苦笑混じりに応える。
そして、レンはドサッと音を立てて頭をカイトに抱きとめられながらソファに全身を沈み込ませた。
「そ、そんなぁ……」
「コーヒーで寝れなくなるって事は、まだまだレンも身体は子供ってことだね。あ、そうそう。もしかしたら悪い夢も見てたのかもしれないけど、それも多分コーヒーが神経を昂らせるから普段より夢をよく見るってマスターから聞いたことあるから、それだと思うよ?」
口元をへの字に歪ませて恥ずかしそうに顔を背けたレンに苦笑いのままカイトは以前彼らの主の青年から聞いた話を口にする。
「さ、さっきまでホントに怖かったのに……」
「今度からは寝る前にコーヒーは飲まないようにしないとね」
ペットを撫でるようにレンの髪を梳きながら頬を軽く膨らませたレンを宥めつつ、カイトは小さく欠伸をする。

(俺もコーヒーの所為で眠れないんだけどね)

心の内の呟きを聞く者は無く、拗ねてしまった弟の機嫌を直して早く布団に入ろう、とカイトはレンに気付かれないように溜息を吐いた。





――了――




アトガキ


ぐだぐだです、すみませんι


ミスドのカフェオレの飲みすぎで眠れないという日がざらじゃありません、こんばんは、和紗です(平伏)

この原稿もミスドでやったんだけどねww
私が原稿をやるにはミスドのカフェオレとタバコとレンの歌声は必須(爆

因みに今回はメ●ト(男の子歌詞ver.)。

実体験を基に作成したといっても過言じゃないです。とはいっても、私の場合あからさまにカフェインの過剰摂取ですが。寝れない日は大体ミスドで5杯以上カフェオレ飲んでるからwww
もう大半の店員さんとは顔見知りです。最近は何も言わなくても灰皿置いてくれるし、時には

「飲み物はカフェオレで良いですよね?」

って言われたこともあるwww

ま、ポイントが1500Pも溜まるぐらい通えばそりゃ嫌でも覚えるってねww


とりま、こんなどうでもいい雑談までお読み頂き、ありがとうございマシタ☆

皆様は良き夢が見れますよう――


2008/06/08 伴 和紗 拝


◆  ◆  ◆  ◆  ◆

花瓶に収められた花を眺め、少年はただしとしとと降り落ちる水滴の音を聞いている。何もすることが無いわけではないが、かといってしなくてはいけないことはない。ただ流れる時間に任せ、彼は止まない雨音を耳にしては飾られている花に手を伸ばしては引っ込め、何をしたいのか分からない自身の動きにただ苦笑をするだけだった。
主が、姿を見せない。
理由は分かっているのだ。単に仕事が忙しくなっただけ。予め来れなくなったのならそれは用事が重なっているからであって、来たく無いから来ないのではないと告げられている。ヒトのココロを抉る言葉をよく用いる青年であるが、嘘だけは吐かないことを知っているから、その通りなのだろう。
別に、不満があるとは言わない。
頬杖をついて窓ガラスに映る不細工な自分の顔を見つめ、少年は翡翠の瞳を閉じて大きく息を吐いた。
「アジサイだけ置いていくのはどんな意味があるんだか……」
窓の外で雨水に濡れて水滴を零し続ける花を眺め、首は動かさず視線だけ花瓶に収められている花へ移す。少し前まで外に出していたので雨水を含んだ土はしっとりと濡れ、茎や葉には未だ雫が残っていて生命力をそのまま現しているようだ。
「これも、データに過ぎないはずなんだけどね」
青年が住まう世界とは異なるセカイ。太陽が東から昇っては西に沈み、時には積乱雲とともに豪雨が襲い、花が咲き、木々が風に揺れ、ヒトが生活を営むセカイ。
それでも、それは全て0と1の数字が変換されて構成された、デジタル仕様のセカイ。
世界とセカイを行き来する主である青年は何ら変わらないと以前話していたが、それでも自身が世界へ行けず、セカイに捕らわれていることには変わらない。
少年は――金色の髪と翡翠の瞳を持った歌い手たる少年は、考えるのをやめて頬杖を崩して窓枠に寄りかかった。
鮮やかな紫色を保った花がその拍子に微かに揺れ動き、視線を再びそちらに持っていく。脳内で簡単に覚えているその花のことを思い出して、少年は意味もなく軽く口を開いた。
「アジサイ、別名ハイドレンジア。梅雨時に咲き、色を変えていく花。花言葉は」一度口を噤み、記憶にある言葉を口にするのを躊躇うが「『非情』」
ふと、言葉を羅列してから何故その花を青年が摘んできたのか、と考える。単純に庭に咲いているものを摘んできたと話していたが、本当にそれだけなのだろうか。
『非情』の花言葉を持つその花は、雨が多く降り湿気でじめつく季節に咲き始め、夏の到来と共に枯れ散っていく。
そんな、期間の短い花だ。
花弁に手を伸ばし、少年はその花をじっくりと観察し始める。一息に紫と言ってもその色合いは花びらによって微細に異なり、少し薄みがかっていたり、赤みがかっていたり、青みがかっていたり。そして、枯れ落ちようとするかの如く、茶を含み始めていたり。
同じ花、同じ根から現れているはずなのに、全て同じ色と言うものは存在していない。瞳に映るその花を眺めていれば、部屋と廊下を隔てるドアをノックする音が鼓膜を打ち、少年は我に返ったように花から視線を外して来訪者を中へ誘った。
「発声練習くらいはしてたんだろうな?」
傲慢な口調と口元だけを吊り上げる笑み。数日音信不通になっていた主の姿がそこにあった。
「マスター……」
窓枠から身体を離して身を起こそうとすれば青年が手を前に出してその動きを押し留め、彼の方から少年に近づいていく。
「淋しくて泣いているんじゃないかと思ったが、そうでもないか?」
「誰が泣くって言うんだよ、たかだか一週間かそこら来なかっただけで」
喉を鳴らして笑う青年に言い返して肩を大きく竦めて見せれば、その仕草にも笑みを零し、青年は少年の傍に設置されている寝台に腰を下ろした。
「それだけ言い返せれば問題無さそうだな。とりあえず今日は時間を取れたが、また明日からそうも行かなくなるんでな」
疲れきった面持ちでそう呟いた青年の顔をうかがう。少し目の下にクマが出来、普段は小ざっぱりしている服装も今日はTシャツにジーンズと言った限りなくラフな格好だ。
「そんなに忙しいなら無理してこなきゃいいのに」
言外に休め、と意味を込めて言えば伝わったのか苦笑を漏らし、青年は表情を和らげて彼に視線を向けた。
「お前らと話すだけでも気分転換にはなる。ぐだぐだたらたら仕事されるよりはよっぽど気が休まるもんだ」
「……ならいいけど」
突然柔らかな眼差しを向けられて思わず視線を逸らしながら返せば、青年の手が少年の腕を取り、そのまま引き寄せる。抵抗せずにそのまま引き寄せられればぬいぐるみのように背中から腕を回され、互いの体温が布越しに感じられるようになった。
「暑いんだけど」
「そう刺々しくなるな」
本心から口に出したものの強がりだと取られたのか頭を撫でられ、子ども扱いされていることに頬を膨らまるが青年は気にする様子もなく飾られているアジサイに気を向ける。
「綺麗に咲いているな。世話してるようで何よりだ」
「リンじゃないんだから簡単に枯らしたりなんてしねぇし」
双子の姉を例えに上げれば再び喉を鳴らして笑い、青年はふと問いを投げ掛けた。
「レンはアジサイを見てどう思った」
唐突な問いかけはこの主にはいつものこと。始めは応えに窮する事も多かったが、既にそんな青年に慣れた少年は臆することなく口を開く。
「綺麗だけど哀しい」端的な答えをひとまず返し「こんだけ世話しても梅雨が明けたら枯れるって聞いたから。あんまり好きにはなれない」
ぶっきらぼうに答えた少年の髪を梳いていた青年の指が彼の答えを聞いて止まり、溜息とは異なる小さな息と共になるほど、と吐き出した。
「レンの言うことも一理ある。それもアジサイの一面だからな」少年の言葉を肯定し、青年は続ける。「だが、まだ浅い」
口元を歪め、何処か楽しげに笑う青年は少年の髪に寄せていた指で紫陽花の花を指し示す。
「アジサイはその花の名に花の色を含める紫を入れているが、それだけではなにのは見て分かることだ。昔のヒトはそこに着目してアジサイを“七色に変わる花”と考えていたと言われている」
「七色? 確かに色はちょっとずつ違うかもしれないけど、そこまで大袈裟に言うほどじゃないと思うんだけど」
「しかし、変わっていることに変わりは無い。それこそ受け取り方の違いだからな。……同じ根からでも変わることが出来るというのは、花自体にその意思はなくとも受け取り手からすればまた可憐であり儚くも感じ取ることが出来る。特にレンがさっき言った通り、アジサイはすぐに枯れてしまうからな。しかし、そこにこそ儚さと美しさが同居しているとも言える」
指を下ろした青年は彼に導かれるまま視線を花に向けていた少年の頭に手を再び置き、意識を花から逸らさせて真っ向から少年の翡翠の瞳を覗き込む。
「七色と言って、レンはまず何を思い浮かべる?」
再び質問を繰り出され、青年の言葉を何とか飲み込んでいた少年はパンクしそうなほどの情報に頭を抱えながらも思い浮かんだものを口にする。
「……虹?」「大多数はそうだ」
逡巡してから応えた少年の頭を乱暴に撫で、青年は窓の外を伺う。全く晴れる気配のない曇天は限りなく続き、視界に雲の切れ目がない。虹が出そうな気配がないかと考えを巡らせたのか少し残念そうに眉尻を下げた青年の顔を眺めながら少年は彼の口が開かれるのを待つ。
「……虹も確かに七色で現れる。それもアジサイと同じ様にすぐに消えていくだろう? 七色というのは“儚くも美しいもの”に付けられるものだと、結論付けることが出来る」
いつの間にか自論の展開になっていることに少年は気付いたが、特に反論もないのでそのまま青年の言葉を待つことにすれば、窓外に向けられていた青年の視線が降りて少年を真顔で見つめる形になった。
「な、なんだよ」
「いや、ここまで理解できてるかどうかの確認だ。わかったか?」
「んなッ! 何処まで子ども扱いするつもりだよっ!」
真顔で問いかける青年に腹を立てて視線を外すように首を背ければ、苦笑が耳に入る。
「そういうところがまだまだガキ扱いしたくなる素振りだというのが何故わからない」
クスクスと笑う青年に反論しようと再び顔を戻すが、不意に青年が少年を抱きかかえたまま寝台へ倒れこみ、危うく舌を噛み掛けて反論するタイミングを逃せば、ちょうど少年の耳元に近づいた青年の口から囁きが漏れ出た。
「まぁ、さほどアジサイを嫌いになっていないようで安心した、のだが安心ついでに眠くなったのでこのまま寝るぞ」
「ちょっとっ! ヒトの布団で寝ないでよ!自分の部屋に帰って寝ればいいじゃんか!」「レンは俺と寝たくはないか?」
顔を青年に向けて反論していればその言葉を遮って青年が呟き、その言葉に彼は何も返せなくなる。
「……そういうの、ズルイ」
「ズルくて結構。ほら、寝るぞ。俺は疲れてるんだ」
ぽそりと呟いた言葉に対して引き寄せている腕に力を込めて距離を近づけながら返した青年はそれきり何も言わず寝息を立て始めてしまう。眠ってしまったはずなのに少年の身体を離さない腕を抓ってみたりするが、逆に強く引き寄せられてしまい、寝返りすら打てなくなったのを最後の抵抗に、少年は一際大きく溜息を吐いて瞼を閉じる。

その口元が柔らかく緩んでいたのは、彼も、その彼を捕まえている青年も知らないことだった。

◆  ◆  ◆  ◆  ◆

――色彩に踊り
――四季祭に揺れる。
――咲き枯れ
――移り廻る。
――廻るは四季。
――移るは時。
――廻り廻る時の流れ。
――流れる時はヒトも巡らせ。
――移り変わるもまた運命(さだめ)。
――変わる変わる。
――四季の廻りと共に。
――ヒトは変わる。
――溢れる色彩の如く。
――廻る四季の如く。
――示される道に限りは無く。

――ナナイロよりも、道は広がっている。

――了――

アトガキ

な、何ヶ月ぶりの更新でしょうか、久々に一日仕上げで更新が出来ました。待ってくださっていた方がいたならありがとうございます。お久しぶりです、駄文書きのカズサです(平伏)


日記すらまともに書いてない昨今なのですが、徐々に生活リズムを掴……めねぇよwwwww


いやもう真面目に休みだと思ってたら急遽予定入るわ、逆もまたあるわ。はたまた家に帰れば翌朝早いからPC開く気力すら生まれないときたもんだ。

そういうわけで最近原稿やるのは休みの日、それも予定の無い休みの日だけという惨状にありますι

あ゛ーもうね、正直きっついっす。いや、なにがって駄文を書く暇が無いことが。色々妄想は貯まってるんですよ。正に貯蓄していくしかないんです。吐き出す暇が無い。


まぁ、とりあえずそろそろコッチにも復帰していきたい次第。オンラインも更新できればいいけど、オフラインも活動再開していこうと思います。
その復帰第一弾として、今回の作品。お、ようやくちゃんとアトガキっぽいこと言えたww

今期から新社会人として新たな道に踏み出した筆者な訳ですが。
今回の作品は、ボクより年齢が下の方々は勿論、上の方にも言いたいこと。
四季は巡り、巡る時に合わせてまた花が咲いて。
そうした時間の流れの中で、ボク達は生きていて。
そうやって生きている間、困難は訪れるけど、それでも道は一つじゃない。
辛いことはたくさんあるけど、そんなときはふと周りを見渡すのも、大切。
悩みが無い人はいないと思う。満足している人もいれば、現状に不満を抱いてる人もいると思う。
だけど、ふと周りを見れば何処かしらに緑を見ることが出来ると思う。そこでまた、移り変わりを感じれば、以前に見たときよりも時が過ぎ、何かしら自分に変化があったことを自覚できると思う。


たった一度の人生、愉しんで生きなきゃ損じゃない?(笑)


2009/07/13 伴和紗 拝
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