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同人ブログ。 原稿の進行状況やその日あった雑記などを気ままに書き散らしております。 メインの小説はカテゴリ欄にてジャンル別でおいておりますので、そちらをご覧くださいますよう御願い致します。

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悪夢?



◆  ◆  ◆  ◆  ◆

誰もいない。
何も無い。
ただ無音の闇が広がる。
手を伸ばしても掴むのは虚空で、声を上げているつもりでも実際耳に入る音は無い。何度も何度も声を張り上げているのに、返ってくるのは無音。自分の声すら聞こえない。
自分は“存る”のに、他は無い。
地に着けている感覚の無い足に目をやっても、闇。否、本当に自分が足元を見ているのかどうかすらも分からない。
自分は“存る”。
逆に言えばそれしかない。自分以外は、無い。何も“無い”ことが、恐怖を心に生み、それが加速して自分を襲う。涙を流して駆け回っているつもりでも、地の感覚が無ければ走っている感覚も訪れない。
ただただ深い闇の中、これから何が訪れるのかわからない恐怖に、身を震わせるしか出来ない。


そこで、目が覚めた。覚醒しきっていない身体をいきなり起こし、血液が反応しきれず一瞬貧血に似た眩暈を起こすが、頭を手で抑えて何とかやり過ごした彼は、頭を巡らせて自分のいる場所が自室であることを確認する。額に当てた手には汗が握られており、布団の中に入っていた所為もあってか生ぬるく気持ち悪い。寝台のすぐ傍らにある時計に目をやれば布団に入ってからまだ二時間。今まで見ていた夢が余りにも非現実的であったにもかかわらず、自身が夢の中の五感で感じていた感触がまだ残っており、少年は身を震わせた。
静寂。
永劫にも感じた夢が未だ続いているようにも思えるほどの静けさが部屋を満たしており、彼は耐えられず布団から這い出るも深夜に照明をつけるのは非常識と判断し、ただ暗闇に包まれている部屋の中をうろうろと歩き回る。時計が刻む秒針だけが彼が立てていない唯一の音で、その規則的な音が普段はなんとも無い暗闇の恐怖を加速させた。
落ち着き無く部屋を歩き回っていた彼は、その整えられた細い眉を下げて不安に満ちた面持ちで、いても立ってもいられなくなり、自室の扉を開いて廊下へと出る。
ぎぃ、と金具の軋む音が暗い廊下に響き、静まり返った廊下を見渡しても漆黒が映るだけだ。それでも部屋の中に入るよりは幾分か気が晴れると思い、少年は再び金具を軋ませながら廊下を歩き、フローリングの床が立てる音にすら恐怖心を抱きながらリビングに向かう。昼間、明かりの灯されている時間帯ならば気にも留めることなく歩ける廊下が、自身の立てる足音以外の暗闇の中では酷く遠く感じる。永遠と続くのではないかと錯覚しそうになりながらも出来る限り足音を立てないよう歩けば暗い中からリビングと廊下を繋ぐ扉を認識でき、彼はその戸をゆっくりと開ける。
誰もいない、深い闇に包まれたリビング。
壁に掛けられた時計が自室と同じ様に秒針を進ませて時を刻み、カーテンの閉められた窓からも、月明かりが差し込んでいる気配が無い。
何処か異世界に迷い込んでしまったのではないか。
頭の片隅でばかげたことを考え、その思考を振り払うように大きく首を左右に振った彼は、リビングと廊下を繋ぐ戸を開いたまま中央に置かれているソファへと近づき、腰を下ろした。
瞼を開けていても、閉じていても闇が広がる。自室と異なり、キッチンと繋がっているリビングなので冷蔵庫の立てる音が自分の居場所が居住している夢の世界ではないことを知らせ、少年はその場で大きく息を吐いた。
異界に感じる、居住区。
先ほど自室で受けていた圧迫感は薄れたが、それでもやはりいつものソファに感じられず、少年はソファの上で手を握っては開き、落ち着き無く周囲に視線を侍らせる。時刻は深夜だというのに訪れない睡魔がその時ばかりは小憎く思い、彼はただ深闇に身を預けて――
「ひぃッ?!」
――背後の闇から肩に何かが触れ、盛大に声を上げて少年は文字通り身体を跳ねさせた。身体ごと振り返れば少年の肩に手を置いたが彼の大声に驚いたのだろう、青年が中空に手をあげたまま固まっていた。
「レ、レン……だよね……?」
「カ、カイト、兄……」
先に声を上げたのは少年の肩に手を乗せた青年。返事をした少年も少し強張った表情のままだが、相手が実兄であると知ると崩れるようにソファに身を預けなおし、青年も未だ空に置いていた手を降ろして少年と同じくソファに座るために回りこみ、レンの隣に腰を下ろした。
「ダメだぞー、こんな時間まで起きてたらー。明日起きれなくなっちゃうぞ?」
笑いを含みながら注意をするがそれに対する返答は無く、暗闇の中で何とかレンが俯いているのを垣間見、彼は小首を傾げながらも少年の頭に触れる。
「それとも、怖い夢でも見た?」
「……そんなんじゃないし」
カイトの言葉を否定しながらも、頭に置かれた手を払いのけるでもなく力なく答えた少年は俯いているために見えなかったが、カイトは自分の考えがどうやら的中したようだ、とその口元に小さな苦笑を浮かべていた。
「でも、寝ないとダメだよ。マスターに怒られるよ?」
「ずっと起きてれば寝坊しねぇもん」
無理でしょ、という言葉を飲み込み、カイトは少年の頭においていた手を膝の上で握られていた手に重ねる。
「……暑いんだけど」
「夏だからねぇ」
暑い、と返したレンだが、触れたカイトからすれば、何に対する緊張かは分からないが、冷え切っている彼の手に内心驚き、振り払おうとするレンに抵抗されないよう強く握り締めた。
「もしかして、眠れないの?」
握られていない方の手でカイトの手を剥ぎ取ろうとしていたレンの動きが止まった。図星を突かれて頭を垂れたレンの手を握ったまま、カイトは空いている手で再び彼の頭に触れてその髪を梳く。
「寝れないなら寝れないって言えばいいのに」
「……たまたまだし。別に毎日寝れないんじゃなくて、今日だけなんか寝れないだけ」
強がるように言葉を返すが、レンはカイトの手を振り払おうとせず、静かに髪を撫でられて少しだけ身体を動かしてカイトに寄りかかる。
「でも、寝たいんでしょ?」
近づいてきたレンの柔らかな髪に顎を乗せ、肩を抱き寄せて密着を深めればレンは素直に頷き、そのまま俯いてしまった。
「……寝たいのに、いつもと変わらないはずなのに、暗いのが怖くて、息苦しく思えてきて」
「全然寝れないんだ」
精神的に不安を抱えていればレンの言った症状に近い不眠症を患うこともある、と聞いたことがある。しかし、レンが嘘を言っていないとわかっていても何故かしっくりこないカイト、幼子をあやす様に弟の背を撫でてやりながら彼が床につくまで何をしていたかを回想し始め、気付いた。
「……ねぇレン。寝る前、何飲んだ?」
自身の回想が正しいかどうかを確かめる為に、カイトは努めて声音を変えずに問いただす。
意識して平静な声を出そうとしなければ、笑いを含んでしまいそうな結論だった。

「えっと……、マスターが飲んでた……コーヒー……」

予想が確信に変わり、神妙そうに答えたレンには申し訳ないと思いながらもカイトは耐え切れずに吹き出す。
「ちょ、な、なんで笑うんだよっ!」
「いや、ごめ……っ、で、でも……ッ」
クスクスと小さく笑いながら答えるが、その返事すらも笑いを含んでおり傍らにいるレンの眉間にみるみると皺が寄っていく。
「ヒトが困ってるってのに!」
「や、でもさ。レン、知らないの?」
身体を揺らして笑うカイトから身を離し、きつく睨み上げてくるレンだが、カイトから発せられた次の言葉に、口をあけたまま呆けることしか出来なくなった。

「コーヒーって、慣れない人が飲むと眠れなくなるんだよ?」

カイトの言葉を最後に、部屋を静寂が包む。先ほどと変わらぬ、耳鳴りがしそうなほどの静寂。
しかし、今少年が感じている静寂は先ほどのものとは全く性質が異なっている。
「……ホント、に?」
「嘘言っても仕方ないもんねぇ」
恐る恐るといった様子でレンが呟き、カイトは苦笑混じりに応える。
そして、レンはドサッと音を立てて頭をカイトに抱きとめられながらソファに全身を沈み込ませた。
「そ、そんなぁ……」
「コーヒーで寝れなくなるって事は、まだまだレンも身体は子供ってことだね。あ、そうそう。もしかしたら悪い夢も見てたのかもしれないけど、それも多分コーヒーが神経を昂らせるから普段より夢をよく見るってマスターから聞いたことあるから、それだと思うよ?」
口元をへの字に歪ませて恥ずかしそうに顔を背けたレンに苦笑いのままカイトは以前彼らの主の青年から聞いた話を口にする。
「さ、さっきまでホントに怖かったのに……」
「今度からは寝る前にコーヒーは飲まないようにしないとね」
ペットを撫でるようにレンの髪を梳きながら頬を軽く膨らませたレンを宥めつつ、カイトは小さく欠伸をする。

(俺もコーヒーの所為で眠れないんだけどね)

心の内の呟きを聞く者は無く、拗ねてしまった弟の機嫌を直して早く布団に入ろう、とカイトはレンに気付かれないように溜息を吐いた。





――了――




アトガキ


ぐだぐだです、すみませんι


ミスドのカフェオレの飲みすぎで眠れないという日がざらじゃありません、こんばんは、和紗です(平伏)

この原稿もミスドでやったんだけどねww
私が原稿をやるにはミスドのカフェオレとタバコとレンの歌声は必須(爆

因みに今回はメ●ト(男の子歌詞ver.)。

実体験を基に作成したといっても過言じゃないです。とはいっても、私の場合あからさまにカフェインの過剰摂取ですが。寝れない日は大体ミスドで5杯以上カフェオレ飲んでるからwww
もう大半の店員さんとは顔見知りです。最近は何も言わなくても灰皿置いてくれるし、時には

「飲み物はカフェオレで良いですよね?」

って言われたこともあるwww

ま、ポイントが1500Pも溜まるぐらい通えばそりゃ嫌でも覚えるってねww


とりま、こんなどうでもいい雑談までお読み頂き、ありがとうございマシタ☆

皆様は良き夢が見れますよう――


2008/06/08 伴 和紗 拝
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